洋傘店
娘と私の傘を直してもらった。
骨の先の部分(露先というらしい)が取れたのだ。

○○洋傘店。
小さい頃、初めて自分の傘を選んだのがこのお店である。
白地に緑の模様のついたお気に入りの傘だった。
他にも綺麗なのがたくさんあって、
「大人になったら、あの傘を買おう」と
子どもの私は密かに思ったりした。
もしかすると、
この傘やさんに入るのはそのとき以来かもしれない。

少し薄暗くて物音がしない店内に入ると
おじさんが一人、座っていた。
横には食べたばかりのカップラーメンがあった。

おじさんが修理をしてくれている間、
くるりと店内を見回すと、
一本一本ビニール袋に入った無数の新品の傘、
少々色あせた帽子やスカーフが並んでいた。
みんな眠っているように見えた。

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おじさんの指は太くて、あまり器用ではないようだ。
部品を何度も落としたり、うっかり裏側に縫い付けて、
「あっ・・・」なんて縫い直したり。
私がそばで見ているもんだから
落ち着かなかったのかもね、おじさん。

直った2本を受け取り
1000円出して、800円のおつりがきた。

初めて買った傘の話をすると
「そぉ~ですか~」とかみしめるように言った。
「一応、69年やっているんですよ、この店。
でももう私の代で終わりですけどね、へへへ」

おじさんは、へへへと笑った。
すこし寂しく笑った。



Posted by 船長
category:徒然  系
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