模擬国連
先日の佐渡裕指揮のオーケストラのコンサート、
ロッシーニのオペラの曲で感情豊かに始まり、
お次はメインのバーンスタイン「不安の時代」だった。
初めて聞いた。
不思議で、鋭く、場面がどんどん変わるこの曲に
必死でついていった。
もぉ 想像できない曲の展開で30分休む暇なしだった。
これがバーンスタインか!

この後、休憩時間があった。
隣の娘を見ると なにやら浮かない表情。
バーンスタインに翻弄された顔でないことは確かだ。
「あんまり聞いてなかった。違うこと考えちゃって。
 はぁ、なんで模擬国連なんかあるの、、、。」

海は1週間後に控えていた「模擬国連」で頭がいっぱいで
本人が「不安の時代」だったのだ。

模擬国連とは、8年生の社会の授業の課題で
メインイベントとも言える。
国連で取り上げられている社会問題に
生徒たちが3、4人のグループを作って取り組む。
1ヶ月ほど準備をかさね、ディベートで闘うのだ。
勝ち負けもつく。

海たちはカタルーニャ独立に関して。
娘のグループはスペイン側となり、カタルーニャ側と議論する。
議題は他にも、尖閣諸島をめぐる 日本vs中国や
核開発をめぐる 北朝鮮vs国連加盟国や
パレスチナ問題をめぐる イスラエルvsパレスチナ
などさまざまだ。

自分たちの正当性が示されるような資料を集め
相手側の反論を予測し、それに対抗する策を練る。
海は、反論に反論する役になったので
泣きたいくらいのプレッシャーを感じていた。

スペインの憲法を調べたり、BBCの記事を読んだりして
スペイン側の有利になる資料を探す。
できるだけ準備をして
こう言われたら、こう言い返すのパターンを増やす以外ない。
あとは出たとこ勝負だ。
わかってる。できることをやるしかない。やるしかない。
しかし、毎日準備しても心の奥に居座るどよどよした不安が
消えることはない。
時々「もぉ、嫌だー!」と不安の大きさと同じ分の声を
吐き出すことでなんとかバランスをとっていた。

模擬国連の時は、服装もフォーマルである。
当日は、私のワンピースの上に、私のジャケットを着て
ストッキングをはき、ハイヒールをもって登校した。
いつの間にか、私と身長がぴったり同じになっていた。

帰ってきた娘は軽やかで穏やかだった。
背丈と共に また見えないなにかを越えていく。




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ナイス・チョイス
ただいま街は どこもかしこもクリスマス。
10月のカレンダーが終わると同時に
オレンジから赤へと 一気に様変わりした。
すっかりハロウィンが定着した日本でも
きっと同じだろう。

先日、海が小さなペリカン(ぬいぐるみ)と一緒に帰ってきた。
学校の友達からのクリスマスプレゼントだという。
おかえしは何がいいかなぁ。
しばし考え、思いついたのがクッキーだ。

私はクッキーをほとんど食べないので
今まで一度も作ったことはないが
博士は結婚する前に何度も焼いたことがある。
頼りになる。

海が「クッキー、簡単」でレシピを検索して
足りない材料を書き出した。
クッキーの上に、文字か絵を描くといいよね。
キャッキャっと楽しそうだ。

お店に行き、材料やプレゼント用の入れ物などを
あれこれ入念に選んでいた海と博士。
相談する後ろ姿が睦まじい。

最近、博士の帰りが毎日遅くて
ほとんど話もしていなかった海と博士。
二人の温度は少し冷えていた。
それが一気にぎゅっと接近、温度もポッと上がって
家の中がまた暖かい。

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人生初の手作りクッキーを昨日渡して
今日からクリスマス休暇がはじまった。


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Back to School Night
娘の学校が始まり3週間がたった先月末、
Back to School Night
という保護者むけの授業説明会があった。
各教科の先生たちが自分の授業を説明するのだ。

学校では生徒一人一人の時間割が違う。
一応、ホームルームはあるがそのクラス単位で動くことはない。
海の授業は ホームルームの後
美術 体育 数学 地理(昼食)自然科学 英語 英語
である。
月曜から金曜まで毎日これ。

Back to School Nightでは保護者が
子どもの時間割に沿ってそれぞれの教室に行き
各教科の先生の話を聞く。
教室は全て違い、1教科終わると教室移動だ。

19:00-19:10 ホームルーム 232教室
19:15-19:25 美術     156教室
19:30-19:40 体育     大体育館
19:45-19:55 数学     257教室
と続き、終わったのは21:10

時間はキチキチしている。
先生の授業説明は10分間。
5分後には別の教室で別の先生の説明が始まる。
保護者は教室の並びがわからず
廊下をあっち行ったりこっち行ったりの大移動だ。
私は海が書いてくれた学校地図を見ながら
オリエンテーリングさながらに 次の目的地に進んだ。
海たち生徒は 授業の間はたった4分なのだそうだ。
4分だとトイレに行く時間はあるのかな。

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授業説明は、先生によって異なるが
だいたい簡単に自己紹介をした後
どんなことを学ぶか、どうやって教えるか、
ターゲットはどこか、
授業がわからない場合はどうしたらいいか、
成績のつけ方(数学だとテスト50 小テスト30 課題10 宿題10) 、
親が手伝えることはなにか、
などなどをパワーポイントで説明していき
質問のある親は質問する。
かなり事細か。

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私は特に質問もなく、見物しにいったようなものだったが
娘が毎日関わっている先生たちの顔を見たり
教室に座っただけでも
チラリと学校生活を覗けたようでちょっと安心した。
家では だらけた姿が目立ってしまうが
飛び込まざるを得ない新しい海で
毎日どうにか手足を動かして泳いでいるんだなと思えた。

10分って短いようだけど案外長いんだ。
10分はまさに十分。
10分を活用しよう。
これがその夜の教訓。自分へのメッセージ。


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中学校
イスラエルに家族で住み始めた時
物件が少なかったり、契約が困難だったりして
なかなか家が決まらなかった。
それに加えて、子どもが多くて幼稚園が足りず
勧められた幼稚園はどこも空きがなかった。

ようやく見つけた幼稚園ひとつ。
毎日毎日 私とべったりと過ごすことに飽きて
幼稚園に行きたい気持ちがパンパンになっていた海。
心配した言葉の壁は
子ども同士で遊べる楽しさのおかげで
ひょいっと軽やかに超えていった。
子どもは見事だ。
(参照:海の船出

あれから9年。
5月いっぱいでガーナの学校が終わっていた海
今年は長い長〜い夏休みだった。
日数はほぼ100日。
ちびまるこちゃんのような思考の我が娘も
さすがに最後の方は
「早く自分の生活を始めたい」と言い出した。
いいぞいいぞ。
でも、もちろんそれなりの不安もあるわけで
学校が目前になると笑顔になれずお腹が痛くなった。

教育委員会に必要書類を出し、
英語の面接とレベルテストを受け
ツベルクリン反応検査、足りない予防接種を4本打った。
学校初日の朝、ようやく「入学パケット」を
教育委員会から受け取ることができ
それをもって学校へ手続きに行った。

学年ごとに一人いるカウンセラーの先生が
娘の時間割を組み立ててくれた。
選択科目、英語のレベル、数学のレベルによって
ひとりひとり授業が違うのだ。
何か学校で問題があったり、心配事があったら
いつでもその先生のところに来るように言われる。
そして、手続きが完了。
「さぁ、3限は数学よ。」と言われた海。
今日は手続きだけで私と一緒に帰るつもりでいた海
とたんに緊張して 歯がカタカタ震えていたが
小さな歩幅で数学の教室に入っていった。

その日の夜は、
ぽろぽろぽろぽろと涙がこぼれてしまったけれど
次の日は帰宅した玄関で声が弾けた。
「友達ができたよー!」

IMG_1997.jpg

さぁ、海も始まった。


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スポットライト (久しぶりに娘系)
先日、娘の学校の生徒たちによるミュージカルがあった。
毎年この時期に2日に渡って上演される。
役者は1月にオーディションで選ばれる中高生だ。

海も多少の興味は持っていたようだが、
ガーナ滞在が3年を過ぎ、いつまでガーナにいられるかが
はっきりしない身としてオーディションは受けられなかった。

学校では、オーディションを通過した友人たちが
ミュージカルの練習に明け暮れるのを
横目で見ながら 月日が過ぎ去った。

しばらくすると、バックステージの募集があり
面接を経て、海はメンバーの一員となった。
バックステージとはその名の通り、舞台の裏で動く人だ。
大道具、小道具を考え用意する。
そして場面が変わる度に 椅子やテーブルなどのセットを移動する裏方さん。

日本の中学生だったら、
生活の中心になっていたであろう「部活」の経験がない海にとって
このバックステージは 初めての部活のようであった。
朝6時半に家を出て、帰りは夕方6時半。
帰ってくる顔がいつも生き生きとしていた。

役者の練習を見ながら準備している間に
ずいぶんと台詞も踊りも覚えたらしく
オーディションを受けたかったな と
ぽそっと口からこぼれたりもした。

本番当日、バックステージのスタッフはみな
黒Tシャツ、黒スパッツ、黒靴下、黒スニーカー姿。
まさに黒子。
ライトの消えた幕間にサササッーと舞台袖から出てきて
セットを運びこんだり 運び去ったりするのが役目。

黒子の仕事は暗いステージ上だが、
親の目のスポットライトはあたる。
博士と私には
やけに素早い動きの忍者のような海がよく見えた。
「おいおい、そんなに急がなくても」
ステージから降りる時に転んじゃうんじゃないかと
博士と二人で心配したり笑ったり。

上演後、緊張が解き放たれ 達成感いっぱいの
キャストたちがお客さんに囲まれている脇で
校内にセットを運んでいたバックステージの黒子たちが目に入る。

いいぞ、青春。
よくやった。よくやった。




Posted by 船長
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